行動指針:本質を見極め素早く行動する
HITOWAフードサービス
介護施設 エリアチーフ
本質的な美味しさを
追求するために。
「美味しかった」
やっぱり、その言葉を聞いたときが何より嬉しい。
2012年に入社して、今はエリアチーフというポジションを担っているが、それはずっと変わらない。お味噌汁一つとっても「どれくらい出汁を入れたら美味しいのかな」と、毎日考えている。
だけど、それを考えるのは当たり前。食べてくださる方の意見をヒアリングして、もっと本質的な「美味しい」を追求するためにはどうしたらいいのか。
そう考えて、直接入居者さまに意見を聞いてみた。でも遠慮してしまうのか、構えてしまうのか、「美味しかったよ」以外の言葉を聞き出すのはそう簡単ではなかった。
「まずい!」
のひと言とその理由。
本音を引き出すためにはどうしたらいいのか。
考えた末に出たのは、「もっと積極的にコミュニケーションをとる」ということ。入居者さまの中には、なかなか素直になってくれない方も少なくない。以前、こんなことがあった。食事の時間に「今日のごはん、どう?」と声を掛けると、返ってきたのはぶっきらぼうな「まずい!」のひと言だった。
ひとりショックを受けていると、しばらく経ってから先程の入居者さまが話しかけてきた。
「本当は美味しかったよ。何を話せばいいか分からなくて、つい“まずい”なんて言ってしまった」と。「それならそうと言ってよー」とホッとした一方で、妙に納得もした。
これまでその方と言葉を交わしたのは数える程だけ。そうか、日々顔を合わせて話をしていなかったから、上手くコミュニケーションが取れないんだ。
前進の鍵は
コミュニケーションにあった。
そこからは、入居者さまとコミュニケーションを取るために様々な施策を試みた。
例えば、厨房のカーテン。私が働いている「イリーゼまつど五香」では、厨房のすぐ外が食堂になっている。だが、食堂に面している厨房の窓ガラスにかかっているカーテンは、長い間閉じられたままだった。そこでお互い顔が見られるようにと、カーテンを開けることにした。入居者さまも「今日の昼食は何かな?」と興味を持って近づいてきてくれるし、調理スタッフも食べてくれる相手の顔が見れる分、美味しく作るための意識が働くと思ったからだ。
こうしてオープンな空間ができたことで、下膳した食器を洗っていると入居者さまが手を振ってくれたり、声を掛けてきてくれたりするようにもなった。新しいコミュニケーションの場が生まれることに繋がったのだ。
さらに、食事の感想をヒアリングするタイミングも工夫した。あえて食事の時間ではない時に、厨房着を着ていない状態で「今日の夕飯どうだった?」と声を掛ける。すると「美味しかったけど、自分は魚が好きだからこんな料理も食べてみたい」など、「美味しい」以外の言葉をたくさん聞けるようになった。現在私は献立を企画するプロジェクトにも参加している。こうして「美味しい」の先の意見を拾うことで、“生の声”を会議で提案することもできる。本当に喜んでもらえる食事を提供することに少しずつだが、着実に近づいている手応えを感じた。
触れ合いを大切にして
「美味しい」を追求する。
「やっぱりコミュニケーションは大切」
そう再確認できたことで、入居者さまとの触れ合いを今まで以上に意識するようになった。施設の庭で焼き鳥を炭で焼いて提供する、「居酒屋風イベント」を行なったり。
入居者さまの誕生日を祝うために「誕生日お祝いせんべい」を作ってみたり。話のタネを生み出すためにも地元の野菜を使うことを提案してみたり。
たくさんのアイデアを出して、行動に移している。すべては本当の意味で「美味しい」料理を提供していくため。
心からの「美味しかった」を聞くために、今日も私は人との繋がりを大切にしながら料理を作っている
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