センシング技術で介護現場を変える

HITOWAケアサービスでは、介護施設における夜間巡視などの見守り業務の負担軽減や、ご入居者様の安心・安全な生活環境の実現のために、介護業務支援サービス「LIFELENS(ライフレンズ)」を導入しています。ご入居者様のご様子や状況をシステムで確認することで、ケアの必要性や優先順位を判断することができます。これにより、適切なタイミングで最適なケアをご提供することが可能になります。

LIFELENS(ライフレンズ)とは

LIFELENS(ライフレンズ)とは、パナソニック社が開発した見守りシステムです。さまざまなセンサーを組み合わせることで居室内全体のお客様の動きを捉えることができます。ベッドに設置するシート型センサーでは、お客様の心拍レベル、呼吸レベル等のバイタル情報や、睡眠状況を検知し、映像センサーではリアルタイムの居室映像を確認することができるため、見守りに必要な情報が一目でわかります。当社の介護施設ブランドである「イリーゼ」をフィールドとした実証実験では、夜間巡視にかかる業務時間を約91%削減できることが確認されています。離床時などの確認が必要な時に映像でチェックできるため、訪室に頼らない効率的な巡視オペレーションが可能になり、夜勤スタッフの業務をサポートします。

また、不要な訪室によるご入居者様の覚醒を減らすことができ、必要な方にだけ訪室することで、より充実したケア提供の時間を増やすことが可能になり、ご入居者様のQOL向上にもつなげることができます。

施設への着実な導入に不可欠な開発部との連携

「新しい施設には原則LIFELENSを導入する予定ですが、そのためには社内での密接な連携、特に開発部の協力が不可欠になります。例えば、ある地域で施設の開発案件が出た段階で、LIFELENSを導入するための計画を立てていかなければならないからです」と語るのは、HITOWAケアサービス 事業連携部 Care Innovation TeamでLIFELENS導入をリードする古作麻友子。

「当社がLIFELENSを着実に施設に導入していく理由は、まずはご入居者様へのサービスの質への寄与、そして従業員の負荷軽減です」と語るのは、Care Innovation Teamを統括する丸山具視。「マテリアリティの大テーマが『高齢者のQOL向上』であることを考えると、LIFELENSの導入はあくまでもステップ1です。安全や安眠をご入居者様に分け隔てなくご提供し、当社のサービス品質を底上げできたという点では、ステップ1は成功したと言えます。しかし、私たちが究極的にQOLの向上として目指しているのは、"パーソナライズ"です。ご入居者様お一人おひとりの生活パターンや、どのような生活を望んでいらっしゃるのか。そのような個々のご要望に対して私たちがいかにお応えできるか、いかにDXを推進していくか、ということが次のステップへの重要な課題になります。」

パナソニック社とのさらなるブラッシュアップ

古作は、「データの利活用がこれからのケアにとってますます重要であると認識しています。LIFELENSの現状の機能でも、データの可視化はある程度できていますが、そこからお客様の変化を捉えるには、スタッフがデータを読み解かなければなりません。しかしながら、限られた時間の中でデータの読み解きをすることは容易ではなく、たくさんの有用な情報があっても、活用できていないのが今の大きな課題です。今後はシステム側が蓄積したデータを分析し、傾向や異変をスタッフに伝えてくれるような仕組みにしていきたいと考えています」と話します。

パナソニック社とは、LIFELENSをブラッシュアップするべく、定期的にユーザインタフェースを含めた開発・改良のための会議を開催しています。また、パナソニック社と、介護現場におけるLIFELENSの運用や課題について定期的に検証やディスカッションを行っています。

パナソニックマーケティングジャパン(株)と、介護施設におけるLIFELENSの運用や課題について定期的に検証やディスカッションが行われる

テクノロジーで介護現場の課題に挑む

「イリーゼではLIFELENS以外にもさまざまなシステムを導入していますが、現在は、現場の状況をリアルタイムにとらえるという側面での活用がメインになっています。将来的には、データも活用しながら、先回りの介護を実践していきたい、ということが目下目指しているところです」と古作は語ります。

「例えば、一般的な福祉用具は、介護現場で広く浸透しており、施設のスタッフにとっても、ご入居者様に対しての使用方法が簡単にイメージできるツールになっています。一方、LIFELENS等のテクノロジーはまだ介護現場にとっては「特別なもの」。しかし、これからの介護にはテクノロジーの活用が必要不可欠であるなかで、一刻も早くLIFELENSのある介護の在り方を確立していくことがCare Innovation Teamのミッションと捉えています。そして介護に携わるスタッフが十分に理解した上でご入居者様に最適なサービスを提供する、それを当たり前のオペレーションにしていきたいです。そこまでの道のりは長いですが、私たちの目指す最終的なゴールはそのような未来です」

介護のDX推進に取り組むCare Innovation Team。(左から)小林直哉、古作麻友子、丸山具視、藤本軒遠、小林航汰

「いつまでも自分らしい毎日を送るためのサポート」を実現するために

サステナビリティ委員からの議論・検討を経て、2022年7月、HITOWAグループのマテリアリティを特定・決定しました。

HITOWAグループでは、企業として持続的な成長を目指し、社会課題の解決・社会的責任を果たしていくため、スローガンである「ひとのために。ひとの力で。ともに明日へ。」に基づき、マテリアリティ(重点課題)を特定し、中長期目標およびアクションプラン、KPI等を設定して、着実に取り組みを推進しています。

マテリアリティの「いつまでも自分らしい毎日を送るためのサポート」の一つとして「高齢者のQOL向上」を掲げ、「LIFELENSを2025年度末までに2022年度比50%増導入」を目標に設定しています。

2024年度、新たに開設する施設は4施設ありますが、オープンしている3施設にはすでにLIFELENSが導入されており、2023年度も新規開設の4棟すべてに導入しています。