サステナビリティとは?SDGsとの違いや企業経営における意味などを解説
サステナビリティという言葉を耳にすることが増えました。しかし、どのような意味なのかしっかりと理解できていない人もいるのではないでしょうか。この記事では、サステナビリティやSDGsについて解説します。企業経営における意味や取り組み事例も紹介しているので、サステナビリティの概要を掴むため、ぜひご覧ください。
- 1. サステナビリティとは?
- 1-1. 概念普及の経緯
- 2. サステナビリティの3つの柱
- 2-1. 経済発展
- 2-2. 社会開発
- 2-3. 環境保全
- 3. サステナビリティとSDGsの関連性
- 4. 企業経営におけるサステナビリティとは
- 5. サステナビリティレポートとGRIスタンダード
- 6. 企業経営におけるサステナビリティとCSRの関連性
- 2. 企業がサステナビリティを意識した取り組みで期待できること
- 7-1. 企業価値の向上
- 7-2. 他社との連携
- 6. サステナビリティへの取り組み事例
- 8-1. 子どもの国際交流イベントの開催
- 8-2. ペーパーレスの取り組み
- 8-3. 子ども清掃活動による地域交流や、自立心の育成
- 6. サステナビリティを意識した行動をとりましょう
サステナビリティとは?
サステナビリティとは、直訳すると「持続可能性」。自然環境や社会、経済を維持し続ける考え方です。企業活動においては、環境・社会・経済に与える長期的な影響を考え、事業活動を行うという意味を持ちます。
概念普及の経緯
1987年に世界委員会が発表した環境と開発に関する報告書「Our Common Future」では、「持続可能な開発」が主なキーワードとして使用されました。この動きは1992年の地球サミットで世界に広まり、2015年で採択されたSDGs(持続可能な開発計画)に繋がっています。
サステナビリティ3つの柱
2005年の世界社会開発サミットで、サステナビリティには経済、社会、環境の三つの柱(トリプルボトムライン)があると示されました。このトリプルボトムラインは、企業の事業活動を経済的成果だけではなく、社会や環境に対する取り組みを含めて評価する考え方です。ここでは、経済、社会、環境の三つの柱の具体的な内容や、それぞれの柱に基づいた行動を解説します。
経済発展
経済発展の側面では、経済を回し続けるための対策が求められます。世界の人々が生活していくためには、長期にわたって健全に経済を回し続けることが重要です。それには、パフォーマンスを失わずに長期的に利益を出し続ける経営が求められます。
現在、開発途上国の課題となっている、過酷な労働環境や貧困の解決、セーフティーネットとしての社会保障の拡充などの取り組みが進められています。
経済を健全に回し続けることを意識したサステナブルな行動の例
- 環境に配慮した企業に投資する
- 自社で、環境や社会のための取り組みを行う
企業の商品やサービスを、環境や社会に配慮しているかの観点から選ぶこともサステナブルな行動です。
社会開発
社会開発の側面では、人間社会を健全に機能させるための対策が求められます。 現在、社会には、ジェンダー、人種、教育、貧困といった不平等や、難民、健康などの問題が数多くあります。課題解決に向けて、保健衛生、社会保障、雇用、教育、住宅などのサービスの増進が進められています。
人間社会を健全に機能させ続けることを意識したサステナブルな行動の例
- 保健衛生、社会保障など公共サービスを増進する
- 将来を担う子ども達へ教育する
公共サービスの増進や教育は、人が福祉や能力の向上を目指していく上で欠かせません。特に保健衛生、社会保障の充実は、健康で文化的な生活を営むために非常に重要です。
環境保全
環境保全の側面からは、人間が生存し続けられる環境を維持するための対策が求められます。 人間の生産活動により、気温や海水温の上昇、海面の上昇、生態系の変化、雨の酸性化などが進んでいます。環境の変化が悪い方向に進んでいけば、将来的に人類が住めない環境になる可能性もあります。
環境保全のために、オゾン層破壊の進行や海洋汚染、森林伐採、生物多様性の損失などの課題への対応が求められています。
環境を損なわないサステナブルな行動の例
- 生態系を損なわない方法で食物を調達する、それを購入する
- 再生可能エネルギーを開発する、提供する、使用する
エネルギーの開発や提供を行う側に、再生可能エネルギーの導入が求められています。加えて、受け取る側にも意識改革が必要です。生態系を損なわない方法で生産された食物を選択することや、再生可能エネルギーを使用することは、サステナブルな行動といえます。
サステナビリティとSDGsの関連性
SDGsとは、世界の発展の方向性をサステナブルな形に変化させるために定められた、2030年までに社会が達成するべき具体的な目標のことです。SDGsは、「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」の頭文字から取られた言葉です。
前身は、ミレニアム開発目標(MDGs)というもので、主に開発途上国向けの目標として掲げられました。一方、SDGは先進国も含めたすべての国が取り組むべき普遍的な目標です。SDGsは、私たち人類が地球に住み続けられるよう持続可能な世界を作るために、進むべき道を示すものです。2030年までに193の国連加盟国で、経済、社会、環境の側面において取り組むべき「17の目標と169のターゲット」を具体的に掲げています。この指針を基に、一人ひとりが持続可能な世界を作るためにできることを考え、行動に移すことが大切です。
また、サステナビリティでは、行動の方向性を経済、社会、環境という大きな3つの枠組みで分けていますが、SDGsでは、この3つの柱をより具体的にした17のゴールを設定しています。すなわち、SDGsはサステナビリティの考え方を具体化したものといえるでしょう。
SDGs 17の目標
持続可能な開発目標(SDGs)が掲げる17の目標のテーマは、以下の通りです。
- 1. 貧困
- 2. 飢餓
- 3. 保健
- 4. 教育
- 5. ジェンダー
- 6. 水、衛生
- 7. エネルギー
- 8. 経済成長と雇用
- 9. インフラ、産業化、イノベーション
- 10. 不平等
- 11. 持続可能な都市
- 12. 持続可能な消費と生産
- 13. 気候変動
- 14. 海洋資源
- 15. 陸上資源
- 16. 平和
- 17. 実施手段
主に開発途上国の問題とされている貧困、飢餓、保健、教育、衛生などから、先進国でも問題になっている不平等、ジェンダーなどのテーマまであげられています。また、住み続けられる街づくり、持続可能な消費と生産、気候変動など、人類が住み続けられるよう地球の環境を守ることも世界共通の目標としてあげられています。
企業経営におけるサステナビリティとは
企業経営におけるサステナビリティとは、目先の利益の追求だけでなく、サステナビリティ(経済発展・社会開発・環境保全)を意識した事業活動を行うことです。
企業が自社の利益のために事業活動を行っていたとしても、その活動の如何が社会全体のサステナビリティに大きな影響を与えます。そのため、企業がいかにサステナビリティを意識した企業経営を実施するかが社会にとって重要です。 SDGsの浸透や環境問題への意識の高まりなどから、サステナビリティを重視した企業経営がビジネス界のひとつの流れになってきています。また、消費者もサステナビリティを意識した経営をしている企業を消費活動の参考にすることも増えてきています。
企業経営におけるサステナビリティの具体例としては、社会開発の側面では、人材を登用、活用する際にジェンダーやLGBTを尊重することが、雇用の安定だけでなく、多様性のある社会の実現に繋がります。
また、環境保全の側面において、CO2排出量削減やペーパーレス化などの取り組みは、良い生活環境を作るのみならず、地球環境への負荷軽減に繋がるでしょう。
HITOWAグループのサステナビリティに関する取り組みをチェック
サステナビリティレポートとGRIスタンダード
サステナビリティレポートとは、企業のサステナブルな活動についての報告書のこと。GRIスタンダードとは、サステナビリティレポートのガイドラインのこと。
サステナビリティは枠組みが3つと比較的大きいため、解釈が企業によってさまざまです。そこで、国際的スタンダードとして作成されたのがGRIスタンダードです。GRIスタンダードは、組織が自分たちの経済や環境、社会に与える影響と持続的な開発に対する貢献度について報告する際の基準になっています。大小・公民問わずすべての組織の基準として設定されました。
基準を設けたことで相対的で信頼性の高い形での報告が可能となり、組織のサステナビリティに対する貢献度の透明性が高くなりました。
さらに、GRIスタンダードは共通スタンダードと項目別スタンダードに分けられ、項目別は経済、社会、環境で構成されています。このGRIスタンダードを基に作成されるのが、企業のサステナビリティレポートです。
企業経営におけるサステナビリティとCSRの関連性
日本の企業経営におけるサステナビリティとCSRは、攻めの姿勢と守りの姿勢というニュアンスの違いがあります。海外ではほぼ同義で使われることが多いです。
CSRとは、「企業の社会的責任(Corporate Social Responsibility)」の頭文字です。利益至上主義で企業が活動するのではなく、投資家や市民、社会全体に対して責任をもって自発的に活動することを指します。要するに、CSRとは「企業が、自社の活動が社会に与える影響の責任を持つ」という企業の姿勢のことです。
「サステナビリティ」という言葉と「CSR」という言葉は、企業以外も含むか、含まないかという対象範囲の点で異なります。そのため、企業経営におけるサステナビリティと限定した場合、CSRと同義で使われることが海外では多いようです。しかし、日本では2つの言葉を使い分けすることもあります。 具体的には、日本ではCSRをあまり積極的な社会貢献の意味で使わないことがあります。例えば、片手間でボランティア的に行う活動や、法令を遵守して企業活動を行うこと、良い商品・サービスを提供することをCSR活動と捉えている経営者も多くいるようです。
企業がサステナビリティを意識した取り組みで期待できること
企業がSDGsへの取り組みなどのサステナブルな活動をする意義や、取り組みにより期待できる2つの点について解説します。
企業価値の向上
企業のサステナビリティへの取り組みにより期待できることの一つが、企業価値の向上です。
具体的には、SDGsに掲げられているような、より良い世界の実現に貢献する製品やサービスを作ると、社会全体に受け入れられる可能性が高いです。製品やサービスが多くの人から支持を得られれば、業績はもちろんのこと企業価値の向上も見込めます。
さらに、企業価値の向上で、資金調達がしやすくなったり、税制面での優遇措置や税コスト軽減効果が得られたりする可能性が期待できるでしょう。
他社との連携
企業のサステナビリティへの取り組みにより、他社との連携につながることも期待できるでしょう。世界共通の目標であるSDGsは、多くの企業が注目しています。自社のSDGsへの取り組みを発信すると、SDGsに取り組む他社へとその活動が伝わりやすいです。
SDGsという共通の取り組みから企業同士の繋がりが生まれることで、情報共有や新商品開発に繋がる可能性もます。例えば、繋がった開発力のある企業の強みと自社の強みを組み合わせて、新たにSDGsの実現に貢献できる製品やサービスを生み出すことができるかもしれません。
サステナビリティへの取り組み事例
HITOWAグループでは、さまざまなサステナビリティへの取り組みを行っています。そこで、サステナビリティへの取り組み事例を2つご紹介します。SDGsの17の目標のどれに関連するのかなど詳しく見ていきましょう。
子どもの国際交流イベントの開催
HITOWAグループは公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンとコラボレーションし、子どもの国際交流イベント「世界中の人と友達になろう」を開催しました。セーブ・ザ・チルドレンは、日本を含め約120ケ国で子ども支援活動を行う民間・非営利の国際組織です。「世界中の人と友達になろう」は、子ども達が子ども支援活動をはじめとした、国際協力への関心を高めるきっかけ作りを目的としています。
イベントでは、「子どもの権利」のパイオニアでもあるセーブ・ザ・チルドレンUSAの職員と保育園をオンラインで繋ぎ、アメリカの文化に触れ、英語を使ってコミュニケーションを取り、異文化を体感しました。この取り組みは、異文化理解を促すとともに、SDGsの掲げる教育や、不平等の解消に繋がるでしょう。
ペーパーレスの取り組み
HITOWAグループでは、社内ポータルサイトやクラウド環境、電子メールなどを積極的に使用しています。会議資料をデータで共有したり、入社手続きのシステムを導入したりと、全社を挙げてペーパーレス化に取り組んでいます。この取り組みは、SDGsの掲げる持続可能な消費と生産や、陸上資源の保全に繋がります。
子ども清掃活動による地域交流や、自立心の育成
HITOWAキッズライフが運営する「太陽の子」、「わらべうた」保育園で推進している『キッズおそうじチャレンジ』は、グループ企業が展開する「おそうじ本舗」の技術講師が監修したプログラムを用いた本物の清掃体験を行っています。日本では昔から身の回りの整理、整頓や毎日使用する場所の清掃をすることで得られる効果を大切にしてきました。当社では『キッズおそうじチャレンジ』により、生活する場所を自分できれいに保つ自立心や、主体的に掃除をすることで仲間と協力しながら発見、工夫、達成を繰りかえすことで課題解決力や社会性を育てる機会としています。身近な "おそうじ" から社会の "おそうじ" へと目を向け、地域とつながりながら世界を広げていくことを期待し、運営する各保育園が有効に活用しています。
サステナビリティを意識した行動をとりましょう
サステナビリティとは、社会全体として、将来の世代を犠牲にせず、現在の世代のニーズを満たすことです。社会を持続していくためには、個人はもちろんのこと、企業もサステナビリティに取り組んでいく必要があります。
HITOWAグループも、サステナビリティを意識し、事業活動をおこなっています。企業経営の中心に、少子高齢化や大量生産大量消費などの社会が抱える問題の解決に寄与する、ということをおいています。例を挙げると、増加する介護ニーズを踏まえ「イリーゼ」などの介護事業を展開したり、持続可能な消費を推進するために、靴や革製品などのケアをする「靴専科」などの事業を展開したりしています。人や環境にまつわる社会問題に取り組む企業だからこそ、誰もが暮らしやすい社会である「サステナブルな社会」の実現に力を入れています。
HITOWAグループはこの実現のため、「HITOへの取り組み(グループ内の人材活用)」「次世代育成」「地域社会への貢献」「環境・資源対策」の4つに注力しています。 今後もサステナブルな社会の実現を目指し、真摯に企業活動を行っていきます。