女性が働きやすい会社とは?結婚・出産・育児などに対応している職場を選ぶために
結婚や出産を機に働き方がガラリと変わる女性にとって、私生活と仕事を両立させやすいかといったポイントはとても重要です。ここでは女性のライフステージの変化にも柔軟に対応してくれる、働きやすい会社についての特徴や、見分け方を解説していきます。
女性が生涯を通じて働くことが、ごく当たり前となった現代。女性活躍推進法を始め、法整備も着々と進められていますが、女性にとって働きやすい実社会であるかというとまだ道は半ば。出産や育児などで働き方がガラリと変わる女性にとって、出産後もキャリアを続けられるか、育児と仕事を両立しやすいかといったポイントはとても重要です。ここでは女性のライフステージの変化にも柔軟に対応してくれる、働きやすい会社の特徴や見分け方を解説していきます。
女性が働きやすい会社はまだまだ少ない?
性別に関わらず社会で働くことが当たり前となった社会の中で、女性は働く環境についてどのように感じているでしょうか。働く現代女性の意識調査を元に、置かれている現状を解説します。
働きにくさを感じている女性たち
「労働政策研究・研修機構」が実施した「人手不足等をめぐる現状と働き方等に関する調査(正社員調査票)」(2019年)(※1)を元に、厚生労働省政策統括官付政策統括室が独自に行った集計によると、女性が働きにくいと感じる場面が少なくないことがわかります。
この調査では特に他の年齢階級に比べ「45~54歳」「55~64歳」の年代の女性は、職場において働きにくさを感じている傾向が見られます。その要因となっているのは、「人事評価に関する公正性・納得性の向上」です。職場においてこれらに対する対応が十分になされていないと、働きやすさが失われます。
また「15~34歳」「35~44歳」の女性では、働きやすさを得るためには「仕事と育児との両立支援」が重要としています。子育て世代に対する両立への支援は、働きやすさを向上させるために欠かせない施策と言えるでしょう。
働きやすさへの満足感や働きやすさ向上のために求めているものとしては、「45~54歳」では「いわゆる正社員と限定正社員との間での相互転換の柔軟化」、「55~64歳」では「副業・兼業の推進」という意見が上がっています。
年代やキャリアによって働きやすさについて重視するポイントに多少の変化は見られますが、働き方や雇用形態、労働条件についての柔軟性を求める傾向が強く感じられる結果となっています。
女性が働きやすい会社の特徴
女性にとって好ましい職場である、働きやすい会社とはどのようなものなのでしょうか。ポイントや具体的な特徴を解説します。
女性にとっての働きやすさとは何?
先に見てきた調査結果にもあったように、評価についての公正性や納得性は働きやすさの重要な指標です。すべての人材に対してキャリアアップの機会が平等に与えられていること、性別や個人の属性にとらわれず正しく能力を評価されることは、多様化する現代社会にあって企業としての当然の在り方です。
人生で大切なライフステージの変化への柔軟な対応は、女性の能力を活用する上での欠かせない条件となります。結婚、出産、育児といったプライベートな生活と、仕事に対して果たすべき責任を両立することへの理解なしには、女性は社員として十分なパフォーマンスを発揮できません。
女性が働きやすさを感じられる職場とは、これらを踏まえて社内制度の整備や各種施策に取り組む会社です。
女性が働きやすい会社の具体的な特徴
女性が働きやすいと感じる会社の、具体的な特徴を見ていきましょう。
例えば、性別によらず全社員にとって、有給休暇が取りやすい会社であれば、働きやすい環境が保たれている可能性が高くなります。産休・育休・介護休暇などの制度が整備されているだけでなく、実際に男性社員の育休取得が奨励されているといったことも、女性の働きやすさにつながります。
また、フレックスタイム・時短・在宅勤務など働き方に多様性があり、個人の事情に合ったワークスタイルが選べることや、そうした働き方に対して職場内での相互理解が浸透しており、会社全体での取り組みとして認知されていれば、イレギュラーな勤務体制でも問題なく働き続けられます。
男女の管理職数に大きな差がないことは、公正な能力評価の表れです。また、コンプライアンスがしっかり整っており、社員教育が浸透していれば、パワーハラスメントやセクシャルハラスメント、マタニティハラスメントといった問題の発生も未然に防げます。
女性が会社で活躍するためには?
女性が会社で活躍していくためには、企業としてどのような下地が必要とされるのでしょうか。
各種制度の整備が明確になされている
2021年1月より「育児・介護休業法」が改正され、育児や介護のための休暇を時間単位で取得できるようになりましたが、実際の現場でこれらの休暇が取得しやすい体制にあることが重要です。簡便な手続きで休暇が取得でき、その際の業務を周囲がカバーできる制度が整えられていなければ現実的な運用には結びつきません。
同様に必要に応じて社員の側からテレワークを申請できる制度がある、時短勤務やフレックスタイムを選択できる制度が整備されている、また、制度の利用率が採用情報や会社で公表されているなども、会社の取り組みへの姿勢が示されます。
女性ならではの労働が困難な事態に配慮し、「生理の日休暇」が取りやすく制度化されている会社であれば、女性が働くことについて理解があると言えるでしょう。
さらに上記のような項目が就業規則に明記されており、制度の利用に際して精神的な負担が生じないことも大切です。
ダイバーシティが実践されている
国が目指す「一億総活躍社会」の実現のためには、多様で柔軟性のある働き方ができる会社であることが求められます。ダイバーシティ基本方針がウェブサイトに掲載されていて、具体的な取り組みを公表している会社であれば、前向きな姿勢が感じられます。
女性の取締役や執行役員が多く存在し、さまざまな年代や層の社員が各自の責任を任されてイキイキと働いている職場ならば、積極的にダイバーシティを実践している会社です。
先の項でも触れたように、時短勤務やテレワークをする社員がごく普通にいることや、女性の育休や産休が取りやすいのはもちろん、男性の育休取得者がいることなどは、多様化を推進する具体的な例と言えるでしょう。
ダイバーシティへの取組み|サポート体制 | HITOWAキッズライフ保育採用サイト
職場の雰囲気が女性に優しい
会社全体が女性に優しい職場であることは、福利厚生や社内の様子からも知ることができます。
カフェテリア・休憩所・更衣室などの施設が充実しており、女性の意見が良く取り入れられている。、各部署に偏りなく女性が働いているといった点からは、その会社内での女性の働きやすさが伺えます。
同僚、上司や部下などの上下間でのコミュニケーションが活発であり、そうしたオフィスの雰囲気がわかる写真が、企業サイトや採用サイトに公表されている。また、企業サイトや採用サイトに働いている社員のインタビューが掲載されており、内部の状況が良くわかる会社も働きやすさの観点からは有望です。
女性が働きやすさを第一に考えるのであれば、会社が職場で働く人たちを大切にしているかという点を見ましょう。会社を選ぶ際に、重要なポイントとなります。
女性の先輩や同僚、男性社員からの考え方や経験など、幅広い層からの意見を聞く機会が得られる会社は自己の成長につながります。社内コミュニケーションが円滑な会社の中で働けば、会話の中から自分の生き方やキャリアを考えられるようになるでしょう。自分にとってのその時々の優先順位を明確にし、ステップアップをあきらめずに働いていくことも可能です。
働きやすい環境の中であれば、自分のキャリアを長期的な視点で考える余裕が生まれます。将来的な転職や独立も視野に入れたライフプランを構築するなど、さらに多様性を秘めた生き方への可能性を広げられるでしょう。
まとめ:自分で選ぶ働きやすさ
「女性の働きやすさ」とひと口に言っても、年代や置かれている状況によって多少異なります。現時点で何が最良の選択かは、その時々の個人の考え方で決まります。働きやすい会社であることの、もっともわかりやすいポイントは、現時点でさまざまな立場の女性が活躍できていること。ダイバーシティという言葉が社会に登場してしばらくたちますが、それが実現できている会社であれば、女性の生活の変化にも柔軟に対応できると考えられます。
結婚、出産、子育てという大切な時期を通じ、自分なりのキャリアを積んでステップアップしていきたいと考えるのであれば、口先だけ、見かけだけではなく、しっかりと多様な働き方を実践できている会社を見極めていく必要があります。
出典・参照
- ※1)出典:労働政策研究・研修機構「人手不足等をめぐる現状と働き方等に関する調査(正社員調査票)(2019年)」https://www.jil.go.jp/institute/research/2020/193.html
- 参照:厚生労働省「育児・介護休業法について」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html